育つ環境と関係性の大切さ
野菜を健康に育てるには、その野菜に適した環境で育てることがとても大切です。
水蓮が泥池でも美しい花を咲かせるのは、環境に対して我慢して耐えしのいで花を咲かせるのではなく、蓮にとって適している環境なので美しい花を咲かせる事が出来ます。
例えば、海水で蓮を育てると枯れてしまいます。
野菜も稲も人間も、適した環境で育まれる事によって美しく健全に生きる事が出来るのです。
(菊芋の花)
(花を咲かせる緑米)
例えば稲は水を好む草です。
乾燥した土地では上手く育たず実をつけてくれません。
逆に白菜やトマトなどは水捌けの良い土地を好むので、湿り気のある土地では上手く育ちません。
(白菜)
(湿り気が多いと虫喰いが多くなる)
人間も同じで、空気が悪い場所、環境が汚染された場所、人間性とは関係なくシステム効率の為に作られた場所、抑圧されたり強制されたりする場所では、健全に成長する事ができません。
人間の場合は、自ら環境を整える事ができるので、自然環境が厳しい場所、極寒の地や南国では身の回りや暮らしを整える事で、対応してきました。
現代では、空調が効いていようと、暮らしがどんなに便利になろうと、自分たちが生き生かされている土台が見えておらず、虚構のシステムの為に人間社会が構築されているが故に、本来の健全な人間性が社会から排除される環境作りになっています。システムにとっては健全な人間性は非効率的で邪魔だからです。
(田植えが終わった田んぼにキジのつがいが現れた)
(自然農の田んぼでは様々な生き物が共存している)
「いのちは、順応する事が出来る」
というのは師である川口由一さんの言葉です。
タイからきたジャスミンライスを川口さんが育てた時、一年目はタイから日本に環境が変化したこともあり上手く育たなかったそうですが、2年目以降、どんどん良く育つようになったそうです。
また私も生姜の種など、違う産地の物を育てた場合、一年目よりもニ年目の方が上手く育っています。
環境が健全ならば、いのちもそれに対応して変化していく、という事だと思います。
環境が健全かどうか、適する事のできる環境かどうか、というのは健康に生きていくにはとても重要な要因です。
(2年目の生姜)
栽培も子育ても大切なのは、作物と農夫の関係性、親と子の関係性です。
農夫が作物の性質に、沿い、応じ、従い、任せる事が出来ているかどうか。
親が子に、沿い、応じ、従い、任せる事が出来ているかどうか。
必要な時に必要なだけ手を貸す事が出来ているかどうか。
見守る事が出来ているかどうか。
こちらの欲望を相手に押し付けていないかどうか。
健康を損なうものを進んで与えていないかどうか。
どんなに適した栄養を与えて病気にならぬよう薬を与えても、いのち本来の営みをこちらの欲望でコントロールしているのであれば、健全に育つことはありません。
見た目や大きさが良くても、生命力は弱く、いのち本来の力は発揮できておらず、それは健康ではないのです。
いくら自然の環境で子育てをしても、子供の自発性を抑圧し、親の価値観を押し付け、強制させるのであれば、子供は健全に育つことはありません。反発し、親とは違う環境へ、親の価値とは違う所へといくでしょう。
いのちが健全に育つには、育つ環境と関係性がとても大切になってくるのです。
(草の中で育った間引き大根)